空間参照系
空間参照系は、地球の表面上の位置を座標として正確に表現するために使用されるフレームワークです。これによって発信側の示す位置情報と受信側とで同じ位置を識別できるようになります。
空間参照には、座標系の名前や識別番号 (SRID) 、WKTなどの情報が含まれており、いくつかの団体が整備しています。
https://spatialreference.org/
WKTについてはこちらが参考になります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/Well-known_text
空間参照系は、次の2つから成り立ちます。
測地系:ある場所の緯度経度の値
座標系:緯度経度の値を平面に投影した座標値
測地系
測量法では、「位置は、地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示する。」こととなっています。地球上の位置を緯度、経度、高さで表すためにまず基準面を決めなければなりません。それぞれの基準によって測量された緯度経度座標系のことを「測地系」といいます。
座標系名称 | 楕円体名称 |
---|---|
日本測地系(Tokyo Datum) | Bessel楕円体 |
世界測地系(JGD2000) | GRS80楕円体 |
WGS84 | WGS84楕円体 |
日本において利用する可能性のある準拠楕円体
年 | 楕円体名 | 長半径[m] | 扁平率逆数(1/f) | 使用している主要国 |
---|---|---|---|---|
1984 | WGS84 | 6,378,137 | 298.287223563 | GPS |
1980 | GRS80 | 6,378,137 | 298.257222101 | アメリカ、ヨーロッパ、日本 |
1841 | Bessel | 6,377,397.155 | 299.1528128 | 2002年3月までの日本 |
JGD2011とWGS84では当初、地球の重心から約1m程度のズレが生じていましたが、1994年と1996年の改定により、相互間のズレは10㎝以下となり、実質的には同一座標とみなすことができるようになりました。
世界測地系
現在、日本で使われる世界測地系には以下の2つがあります。
世界測地系(JGD2011)
日本の公式な測地系です。
平成23 年(2011 年)東北地方太平洋沖地震に伴い、大きな地殻変動が観測されました。三角点及び水準点の測量結果を基に、それまでの公式な測地系であった世界測地系(JGD2000)から「測地成果2011」へと移行しました。
世界測地系(WGS84)
アメリカ国防総省で構築された測地系で、世界で共通に利用できる位置の基準をいいます。GPSの軌道情報で使われているほか、GPSによるナビゲーションの位置表示の基準として使われています。
局所測地系
日本で使われることのある局所測地系は次の1つです。
日本測地系(Tokyo Datum)
「旧測地系」とも呼ばれ、1918年から2002年までの日本の公式な測地系です。現在ではあまり見なくなりました。
世界測地系と日本測地系のズレ
![](https://blog.dpto.jp/wp/wp-content/uploads/2023/09/000012815.gif)
座標系
座標系には大きく地理座標系と投影座標系の2つの座標系が存在します。地球儀と地図(紙地図やネット地図)をイメージすると分かりやすいかもしれませんね。
地理座標系
地球儀のように地球を回転楕円体(地球楕円体)と見なし、赤道面とのなす角度を意味する緯度と本初子午線とのなす角度を意味する経度との組み合わせで表現されます。
投影座標系
回転楕円体を平面に投影することによる、XY座標で表現する座標系です。歪みを小さくするために、日本全国を 19 の地域に分割してそれぞれに座標原点を設けています。
![](https://blog.dpto.jp/wp/wp-content/uploads/2023/09/000186091.png)
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